ウイルス・細菌の種類

常に健康的な生活を実践し、自信をもって業務に従事できるように心がけましょう。

代表的な細菌及びウイルス性食中毒の特徴

細菌・ウイルス名 原因食品 特徴 症状(潜伏期間) 予防のポイント
カンピロバクター・ジェジュニ/コリ
細菌性食中毒ワースト1
  • 肉類及びその加工品、二次的にサルモネラに汚染された食品
  • 家畜、家きん類の腸管の中に生息し、食肉(特に鶏肉)、臓器や飲料水を汚染
  • 少量の菌量で食中毒をおこす
  • 乾燥に弱く、通常の加熱調理で死滅する
  • 発症までの時間:平均2~3日と長い
  • 症状:腹痛、激しい下痢、発熱、嘔吐、筋肉痛等
  • 調理器具の消毒、乾燥
  • 生肉と調理済みの食品と別々に保管
  • 手指の十分な洗浄・消毒
  • 75℃で1分以上の加熱、生食をさける
  • 井戸水の確実な消毒
サルモネラ属菌
  • 卵、またはその加工品、食肉、ウナギ、スッポン
  • 二次汚染による各種食品
  • 動物の腸管、自然界(川、下水、湖など)に広く分布
  • 生肉、特に鶏肉と卵を汚染することが多い。
  • 乾燥に強い
  • 発症までの時間:8~48時間(菌種により異なる)
  • 症状:激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐等
  • 長期にわたり保菌者となることもある
  • 調理器具の消毒、乾燥
  • 肉や卵は10℃以下の低温保存
  • 生肉と調理済みの食品と別々に保管
  • 手指の十分な洗浄・消毒
  • 75℃で1分以上の加熱、生食をさける
腸管出血性大腸菌
感染症法の3類感染症
  • 牛肉、牛レバー刺し、ユッケ、ハンバーグ、浅漬け、シカ肉等、二時汚染されたサラダや野菜
  • 主に牛の腸にいる細菌。牛の糞などを介して牛肉やその他の食品・井戸水等を汚染。
  • 少量の菌量で発症に、汚染された手を介し人から人へも感染
  • ベロ毒素を産生し、出血性腸炎や溶血性尿毒症症候群を引き起こす
  • 特に抵抗力の弱い子どもや妊婦、高齢者は、重い症状になりやすく、注意が必要
  • 発症までの時間:2~8日
  • 症状:初期症状は下痢、発熱、重症化すると激しい腹痛と血便、溶血性尿毒症症候群で死亡することもある
  • 肉は、十分に加熱する。生では食べない。
  • 焼肉の場合は、生肉をとる箸と食べる箸を別々にする。
  • 調理器具の消毒、乾燥
  • 肉や卵は10℃以下の低温保存
  • 生肉と調理済みの食品と別々に保管
  • 手指の十分な洗浄・消毒
  • 生野菜の十分な洗浄
  • 井戸水や簡易水道などの殺菌と衛生管理
病原性大腸菌
(腸管出血性大腸菌以外)
  • 家畜や患者・保菌者などの糞便に汚染された食品、飲料水など多種にわたる
  • 家畜や人の腸内に存在しほとんどのものは無害ですが、いくつかのもは、人に下痢などの胃腸炎症状をおこします。腸管出血性大腸菌以外に4種類に分類されています
  • 腸管病原性大腸菌:12~72時間 水様下痢、腹痛
  • 腸管侵入性大腸菌:1~5日 赤痢様症状
  • 毒素原性大腸菌:12~72時間 水様下痢、腹痛、嘔吐、腹痛
  • 腸管凝集性大腸菌:12~72時間 2週間以上の持続性下痢、腹痛・発熱
腸炎ビブリオ 魚介類と魚介類からまな板などを介して二次汚染された食品
  • 腸炎ビブリオは、海水域に分布するため、1%程の塩分を好み、真水や熱に弱い。海水温の上昇とともに増殖し、近海産の魚介類についている。低温に強く、熱に弱い。他の菌より増殖が早い。
  • 発症までの時間:通常10~24時間程度
  • 症状:腹痛、下痢、発熱、吐き気
  • 魚介類は、低温で保管する。
  • 魚介類は、流水でよく洗ってから調理
  • 魚介類専用の調理器具を用意し、使用後は十分に洗浄消毒し、二次汚染を防ぐ。
  • 調理後は、速やかに食べる。
黄色ブドウ球菌
  • おにぎり、弁当、洋生菓子
  • 黄色ブドウ球菌は、人の皮膚、鼻、喉頭などに常在する。食品中で 増殖する時に産生された毒素(エンテロトキシン)を食品とともに摂取することにより、黄色ブドウ球菌食中毒が発生する。菌自体は熱に弱いが、毒素は熱に強く、通常の加熱では破壊されない。
  • 発症までの時間:8~36時間
  • 症状:初期には嘔吐や下痢などの胃腸炎症状、ついで視力障害や燕下障害などの神経麻痺症状が現れる。さらに、重症の場合は呼吸困難に陥って死に至る場合もある。
  • びん詰等を作るときは、新鮮な材料を用い、よく洗浄する。
  • 加熱できるものは、十分に加熱した後食べる。
  • 真空パックや缶詰が膨張していたり、異臭がするときは食べない。
  • 一歳未満の乳児に蜂蜜をあたえない
ボツリヌス菌
  • いずし、缶詰、びん詰、真空パック食品、ハム、ソーセージ等
  • 乳児ボツリヌス症:蜂蜜、コーンシロップ
  • ボツリヌス菌は、土壌、河川、海水など自然界に広く分布し、食肉、野菜、魚介類などを汚染する。酸素が無い状態で発育し、強い毒素を産生する。人に食中毒を起こす毒素型は、主にA、B、Eの3型である。A型、B型は耐熱性である。毒素は、熱に弱く、80℃30 分間の加熱で無毒化される。
  • 発症までの時間:8~36時間
  • 症状:初期には嘔吐や下痢などの胃腸炎症状、ついで視力障害や燕下障害などの神経麻痺症状が現れる。さらに、重症の場合は呼吸困難に陥って死に至る場合もある。
  • びん詰等を作るときは、新鮮な材料を用い、よく洗浄する。
  • 加熱できるものは、十分に加熱した後食べる。
  • 真空パックや缶詰が膨張していたり、異臭がするときは食べない。
  • 一歳未満の乳児に蜂蜜をあたえない
セレウス菌
  • 嘔吐型:ピラフ、スパゲッティ等
  • 下痢型:食肉、野菜、スープ、弁当等
  • 土壌などの自然界に広く生息する。細菌は、熱に強い芽胞をつくり、90℃60分でも死滅しない。
  • 嘔吐型と下痢型がある
  • 嘔吐型/発症までの時間:30分~6時間
  • 症状:吐き気、嘔吐
  • 下痢型/発症までの時間:8~10時間
  • 症状:下痢、腹痛
  • 加熱調理した食品は長時間室温放置せず、調理後は8℃以下又は55℃以上で保存
  • なるべく早く食べる
  • 一度に大量の米飯やめん類を調理しない。
ウエルシュ菌
  • 多種多様の煮込み料理(カレー、煮魚、麺のつけ汁、野菜煮付け)など
  • 人や動物の腸管や土壌、下水に広く生息する。酸素のないところで増殖する菌で、菌が熱に耐える芽胞をつくり、100℃1~6時間の加熱に耐える。 食べ物とともに腸管に入った菌は、毒素をつくり、この毒素が食中毒を起こす。しばしば大規模発生がある。
  • 発症までの時間:6~18時間(平均10時間)
  • 症状:下痢、腹痛
  • 十分に加熱し理した食品は長時間室温放置せず、調理後は10℃以下又は55℃以上で保存
  • 食品を再加熱する場合は、十分に加熱し、なるべく早く食べる
  • 芽胞菌があるので加熱を過信しない
ノロウイルス
  • 生又は加熱不十分のノロウイルスに汚染された二枚貝、ノロウイルスを保有している調理従事者などの手を介して二次汚染された野菜サラダ、サンドイッチ、和え物、パン等
  • ノロウイルスとは、非細菌性急性胃腸炎の原因ウイルスであり、冬期のウイルス性急性胃腸炎の大部分が、ノロウイルスによって起こっている。
  • ノロウイルスは、人の腸管でしか増えない。感染ウイルス量は、100個以下の極めて少量で感染する。人から人へも感染する。
  • 発症までの時間:24~48時間(平均36時間)
  • 症状:吐き気、嘔吐、水様性下痢、発熱、悪寒等
  • 食材の加熱調理(中心温度85~90℃ 90秒以上)
  • 調理従事者の健康管理(症状がある場合は食品を直接取り扱う作業に従事しない)
  • 確実な手洗いの励行
  • 食器・環境・リネン類の加熱又は塩素消毒
  • 嘔吐物などの確実な処理と消毒
A型肝炎ウイルス
  • カキ、ハマグリなどの貝類の生食、サラダ、デザート、井戸水等
  • A型肝炎ウイルスは、人の肝臓等で増殖し、胆汁経由で糞便中に排出され、飲料水又は食品を汚染し人に感染する。
  • 発症までの時間:2~6週間
  • 症状:発熱、倦怠感、黄疸、肝腫大等
  • 食材の加熱調理(中心温度85~90℃ 90秒以上)
  • 調理従事者の健康管理(症状がある場合は食品を直接取り扱う作業に従事しない)
  • 確実な手洗いの励行
E型肝炎ウイルス
  • 野生のイノシシ肉や野生のシカ肉の生食、生豚レバー
  • 感染経路は経口感染であり、E型肝炎ウイルスに汚染された食物、水等の摂取により感染し、肝臓にウイルスが移行し、肝臓で増殖する。
  • E型肝炎の治療方法は、現在のところ急性期の対症療法しかない。
  • 発症までの時間:2~9週間
  • 症状:発熱、倦怠感、黄疸、肝腫大等一過性
  • 動物の内臓、特に豚レバーを食べる際には、中心部まで火が通るよう十分に加熱、生食をしない
  • 確実な手洗いの励行

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